ロードバイク乗りを悩ませる粉瘤 --手術の記録--

今年の5月、2年ぶり3回目の粉瘤の手術を受けました。(なんかこの書き方甲子園みたい) おまたおしりのデリケートなところがサドルにガンガン当たる自転車乗りならではの皮膚トラブル。ここに書いておけば、また粉瘤が出来た時の自分のためになるし、誰かのお役に立つ日もあるかもしれないので書いてみます。


向き合いたくなかった

「あ、これ粉瘤だ」って気づく2、3ヶ月前から、なんかサドルと擦れて腫れるモノがあるなとは思っていました。でも薬を塗れば引いていたし、自転車乗るのに支障はなかったので放置してました。なにより、普段目に付かない場所だから、赤くなったり盛り上がったりしてても見えない、というか粉瘤だったら嫌だし見たくない…という現実逃避の心がそこにありました。

でも4月末ぐらいから腫れが酷くなってきて、ペダリングの途中で痛いと感じるように。もしやこれは、と見たり触ったりして粉瘤だと確信しました。(悲しいことに、3回目にもなると、医者に見せなくても何となくわかるようになってしまいます) 一番の特徴は、皮膚のすぐ下に硬いしこりが触れられること。炎症を起こして腫れるとしこりも大きくなります。

まずい、これからGWでがっつり自転車乗るのに…!しかし時すでに遅し。GWに突入して病院は休み。一方で粉瘤は腫れて膨れてるせいで物理的にサドルに当たりやすくなって、余計に腫れて悪化する悪循環。痛みをかばうためにペダリングにまで悪影響が出ます。悪でしかない。また切るしかない…

GW中は前回の粉瘤手術時に処方された塗り薬MAXに塗ってなんとか予定通りのライドを楽しめました。けれどもGW後半の吉野大峯ヒルクライムの試走の後、粉瘤の上に血豆ができていることに気づきました。無理するとこうなるのね…


手術にこぎ着け、こぎ続け(それ違う

GW開け、すぐさま2年前に粉瘤の手術でお世話になった婦人科クリニックに駆け込みました。粉瘤ってどこで見て貰えばいいかって悩むんだけど、私は幸い皮膚科(形成外科)併設の婦人科が見つかって、そこの女の先生に安心して任せることができました。自転車乗りにできる粉瘤なんて、おまたおしりの周辺、おいそれとは人に見せられないようなとこになっちゃうので、婦人科で見てもらえてよかった…

先生、2年ぶりの来院というのに覚えていてくれたらしいです。診察室に入るやいなや「自転車のせいだからね!」って笑顔で言われました。わかってます、はい。

2年前は初診時に速攻日帰り手術してもらえたけど、今は患者が増えすぎてそういうのはできないみたい。(ちなみにこの婦人科では炎症を起こして腫れている粉瘤でも手術してくれます。炎症があると切らない方針の先生もいます)2週間後に予約を取って、それまでは薬で抑える方向になりました。

ステロイドと抗生剤の塗り薬、抗生剤と消炎剤の飲み薬が処方されました。抗生剤(飲み薬の方)の副作用は辛かったです…というか、辛すぎて全部飲めませんでした。それでも手術までなんとか自転車は乗り続けました。出走が危ぶまれた吉野大峯ヒルクライムはアドレナリンの力で痛みを感じずに済みました。


手術当日、まずは患部に麻酔クリームを盛り盛り塗られます。局部麻酔の注射がかなり痛いそうで、その対策として。その後消炎剤と抗生剤の注射と点滴。ちょっと気分悪くなった気もするけど別に問題ない程度。麻酔クリームが効いた頃に処置室に呼ばれ、局部麻酔→レーザーで切開、なんかぐにゅぐにゅされて、「粉瘤取れたよー」って声をかけられて手術終了。たぶん処置室に入って15分くらいで全てが済みました。切開する時、粉瘤取り出してるときにチリチリする痛みはあったけど、まぁ我慢できる程度でした。

術後は傷口をテープで塞ぎ、ガーゼで圧迫。その上から、事前に用意するよう指示されていたガードルを履かされて、さらに圧迫。(ガードルを用意させるあたりはさすが婦人科って気がする。男性には用意できないし)少し安静にして普通に帰宅しました。歩行時も特に痛みはなし。麻酔が切れても痛みを感じることはなかったです。傷口が1-2mm程度で小さかったことも幸いしました。手術した晩はシャワーのみ可。入浴は医師の許可が出るまで不可でした。真冬だったら地味に辛いかもです。

術後に処方されたのは、ゲンタシン軟膏(抗生剤の塗り薬、テープの上からとにかく塗りまくる。傷口を乾かないようにして傷の治りを良くするため)、抗生剤と消炎剤の飲み薬。傷口云々というより、抗生剤の副作用がマジできつかったです。でも、傷口が感染を起こしたら大変なので今回は必死で耐えました。あと、傷口圧迫のためのガードルは一日中(寝てる間も!)着けるよう指示されましたが、不眠に拍車をかけられたので1週間でサボってしまいました。


術後は1週間後、更にその2週間後に傷口の経過を見せに行きます。1週間後の経過は良好。先生に「いい感じ!」とコメントをもらったのと、苦痛だった抗生剤の内服が終わった開放感から調子に乗ってしまいました。翌日の美山チームTT、1本だけですが思いっきり走ってしまいました。レース後、傷口に嫌な感覚が。確認したらなんか傷口開いてない?めっちゃ塗り薬塗りまくって、その後一切2日ほどは大人しくしてました。…が、違和感が消えたら騙し騙し自転車乗ろうとしてた私はアホだと思います。

そのせいか2週間後の診察で「3●歳にしては傷口の治りが遅い!!」と言われてしまい、やたら体調を心配されてしまう羽目に。怒られるのが怖くて自転車乗っちゃいましたなんてとても言えない!これで更に2週間後、お墨付きをもらうために傷口を見せに行かねばならなくなりました。それでも懲りずに隙を見ては自転車に乗り続け…次の診察も冷や汗ものでしたが、無事傷口は塞がってくれたようで、通院終了のお墨付きをもらうことができました。

本当のところを言いますと、術後は1週間〜1ヶ月は自転車に乗っちゃいけないそうです。先生はニヤニヤしながら「自己責任だけどね」と言っていたので、もしかしたら私が乗ってたこともお見通しだったのかもしれません。たまたま今回は、術後に自転車に乗っても大事には至りませんでしたが、傷口の大きさや部位、経過によっては傷の治り方に問題が起きていたかもしれないです。反省。


治ればスッキリだけど

粉瘤は手術しなければ絶対に完治しませんが、手術さえすれば再発はしません。今回は傷口が非常に小さかったお陰もあって、傷跡も気にならず(というか部位的に見えないのか)、快適に自転車に乗れるようになりました。


粉瘤ができるかできないかは体質に左右されるのでは?と思います。できやすい体質だと、私みたいに何度も手術を受ける羽目になってしまいますが… ただ、部位や大きさによっては薬で抑えれば何とかなることもあります。私も現在、今回切ったのとは別の粉瘤(疑い)がありますが、腫れなければ何も問題ないし、少し腫れ気味でも塗り薬を塗ればすぐ引くので気にしてません。

あとは、まだきちんとできていないのですが、粉瘤が出来ないようにきちんとケアをしなきゃいけないなと思ってます。粉瘤は、皮膚にできた小さな傷が治る際に、表皮を皮膚の中に巻き込んでしまって、その中に垢や膿などが溜まってできるらしい。なら、なるべく皮膚に負担をかけないようにするのが、粉瘤予防になるんじゃないかなと個人的には思っています。例えば、合わないサドル・合わないレーパンを無理して使って、皮膚が擦れてしまう、といった状況を避ける。擦れや痛みがあるなら早めに塗り薬で対応する、摩擦を軽減するクリームやワセリンを塗るなど、できることは色々あると思います。


と偉そうに書いてますが、次回また私が粉瘤できた手術しますと言いだしたら笑ってやって下さいw