【ロードバイク的栄養学、始めます】vol.1:エネルギー換算係数という小ネタのお話

カロリーメイト フルーツ味チョコレート味のほうが好きなのに、間違えてフルーツ味を買ってしまった…

先日つきいちさんのツイートにこんなリプライをしました。

これがきっかけで気になって仕方なくなってしまった。結局自転車乗りは何をどれだけ食べたらいいんだ!?管理栄養士の腕が鳴る!(悲しいかなペーパーだけど)
 
あすけんとか、カロミルとか、My Fitness Palとか、便利な食事記録アプリを使えば、日常生活で必要な栄養素とその量はわかると思うんです。でも、普段から100キロ200キロ、当たり前に自転車に乗っている人が必要なカロリーや栄養素の内訳を明確に示してくれるアプリってないと思うんですよね。
 
カロミルやMy Fitness PalはGarmin Connectと連携して消費カロリーを表示してくれるけど、じゃあライドで1000kcal消費した場合に、どんな栄養素からそのカロリーを摂取すればいいの?の答えは明確に示してくれない。単に消費したカロリーだけ取って付けたようになっている。
 
自転車乗りが食事と栄養に気をつけるなら、単にカロリーの帳尻を合わせるだけじゃもったいないと個人的には思います。せっかく自転車に乗るなら、カロリーの中身についても考えていくともっと面白いし役立つんじゃないかなと考えています。
 
というわけで、自転車乗りが必要なカロリーとタンパク質、糖質(と脂質、一応)はどのくらいのもんなんだ、ということを順を追って考えていきたいと思います。
 

三大栄養素のエネルギー換算係数

まず、食事と栄養を考える上で知っていると役立つ基本的な事項のご紹介です。皆さまご存知のタンパク質、糖質、脂質は三大栄養素と呼ばれ、人間が生きていく上で最も重要な栄養素となります。また、これらは別名「エネルギー産生栄養素」と呼ばれている通り、私たちの体を動かすためのガソリンの役割を果たしてくれる栄養素でもあります。
 
よくいう食品の「カロリー」とは、食品中に含まれている三大栄養素が持っている熱量の合計のことを指しています。(例外的に、アルコールや酢酸もカロリーがあります)
 
小難しいことを書いてしまいました。早い話、その辺の食品の裏側の栄養成分表示を見ていただければと思います。例として、カロリーメイト(ブロックタイプ・フルーツ味)の表示から考えます。ここに書いてある三大栄養素の重量に、ある係数を掛けて合計すると、エネルギー(200kcal)の数値と一致するんです。

カロリーメイトの栄養成分表示

タンパク質 4.1g×4kcal/g=16.4kcal
脂質 11.1g×9kcal/g=99.9kcal
糖質 20.7g×4kcal/g=82.8kcal
計 199.1kcal
あ、1kcal足りませんでしたね。誤差の範囲でご容赦願いますw 細かい部分は脚注参照→*1
 
タンパク質、脂質、糖質の重量にに掛け合わせたのが「エネルギー換算係数」です。これは、それぞれの栄養素1gを人間が食べた時、体がどのくらいのエネルギー(=熱量=kcal)をゲットすることができるか、うまいこと調べた結果出てきた数字です。←超ザックリw
 
つまり、タンパク質1gを食べれば4kcal、脂質1gを食べれば9kcal、糖質1gを食べれば4kcal、体がエネルギーをゲットするということです。(ちなみに係数の小数点以下は無視されてます)
 

エネルギー換算係数の活用法

これを知っていると、タンパク質や糖質、脂質の重量からエネルギーをおおまかに計算することができます。例えば、料理をする人ならレシピを見ながら「このケーキは砂糖50gか、(砂糖はほぼ糖質でできているから)大体200kcalになるな、10g減らせば40kcalくらいカットできるな」*2とか。
 
自転車でありそうな簡単な例だと、ライドの補給として粉飴(マルトデキストリン)を水に溶かして飲もうという場合。粉飴も砂糖と同じくほぼ糖質でできています。なので、例えば200kcal分の補給を粉飴からしたい場合、200kcal÷4kcal/g=50g*3の粉飴が必要になる計算ができます。大抵パッケージのどこかに栄養成分表示があるので、それを見ればわかる話かもしれませんが、換算係数がわかっていたほうが早いと思いませんか。
 
これからいろんなカロリーや栄養の計算をしていきますが、そこでこの換算係数が何度も登場します。お楽しみに。
 
以上、自転車乗りの栄養を考える上で基礎となる三大栄養素とエネルギー換算係数のお話でした。次は、自転車外の日常生活で必要なエネルギーと栄養素の量について書きたいと思います。

*1:「糖質」「炭水化物」という言葉は混同されがちですが、糖質と食物繊維を合わせて炭水化物と呼びます。糖質のエネルギー換算係数は4kcal/gですが、食物繊維は種類によって0~2kcal/gです。今回の誤差はこの食物繊維によるものと考えられます。

*2:正確には、砂糖(上白糖)100gあたり384kcalなので、カットできるのは38kcal。

*3:こちらも正確には、粉飴100gあたり384kcalなので、200kcal÷384kcal/100g=52g必要。