【番外編1】怪我・骨折したときに気を付けたい栄養素

前回vol.3、話が途中で切れているロードバイク的栄養学。ちょっと例外的に、勢いで書きたいネタがあったので「番外編1」を作ってみました。(2以降があるかは未定)

 

東京にいた頃、ショップチームのMIVROに入って仲良くなったのんちゃん。

そののんちゃんのとあるブログ記事を見て思いついたネタを共有させてください。

blog.livedoor.jp

 

それは、怪我で動けないときの食事の注意点。

こちらの本を読み進めているときに目に留まった内容です。それに加えて、骨折した場合の注意点もまとめました。

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

 

 ↓はてなブログではワンタッチで目次というやつを挿入できることに気付いた。

 

怪我で動けないときでも、たんぱく質は十分に摂取を

 怪我をしているとき(不活動時)にも、その怪我の程度や種類にもよるが、トレーニングを行った場合とは逆に、アミノ酸たんぱく質摂取による筋たんぱく質合成効果が落ち、骨格筋が委縮する。その際にもやはり、たんぱく質摂取量は多め(体重1kgあたり~2.5g)に確保することがすすめられている。(p140-141)

怪我でトレーニングができないとき。今までと比べて動けなくなると、太らないように食べる量を調節しよう、という気持ちになる思います。全体のカロリー摂取量を落とす場合であっても、たんぱく質については多めに摂取した方がいいのではないか、ということです。

先日のロードバイク的栄養学vol.3で、自転車乗りのたんぱく質摂取量は体重1kgあたり1.5~2.0gくらい?と書いたのですが、それと比べても、少し多めを意識した方がいいのかなと思いました。(多けりゃ多いほどいいってものではないですが)ただ、上に記載されている上限、2.5g/体重kg/日は実行するにはかなり難易度が高そうですね…なので、無理なくできる範囲でいいと思います。

ただし、入院している場合は病院で適切に栄養管理が行われていると思います。この辺のお話が気になる場合は、担当医や栄養士に相談することをお勧めします。

 

骨折したときに気を付けたいこと

この秋、痛ましいことに落車して骨折したという話をよく耳にしました。なので、特に骨折した場合にたんぱく質以外で、気を付けた方がいいことはないかと調べてみました。

意気込んで大学時代の教科書を開いたら、出てくるのはなぜか骨粗しょう症のお話ばかりで…。ただ、骨を作るうえでキーとなる栄養素には共通なので、それをもとにご紹介します。

 

カルシウム!(定番)

カルシウムは骨の原料!骨折したときに気を付けたい栄養素、というのはすでにご存じのことと思います。

日本人の食事摂取基準*1では、カルシウムの推奨量*2として以下のように定められています。

30~49歳 男性650mg 女性650mg

50~69歳 男性700mg 女性650mg

要するに、1日650~700mg摂取する必要があるということ。一方で、日本人はカルシウムの摂取量は不足しがちと言われています。国民健康・栄養調査という、厚生労働省が毎年行っている調査の結果(平成29年)*3をみると、全年代の平均が1日517mg、特に30代~50代の平均は500mgにも達していない状況です。

 

では、どのようにカルシウムを摂っていけばいいのか。カルシウムが多く含まれているのは乳製品・魚介類・大豆製品・野菜や海藻類です。(こちらに掲載されている資料がよくまとまっていてわかりやすいと思います)

ただ、効率・手軽さの問題で言うと、野菜類や魚介類でカルシウムの摂取量を増やすより、乳製品や大豆製品を活用する方がいいかなと思います。毎日小松菜やイワシを食卓に上げるより、おやつに牛乳を飲む、おかずの一品に冷や奴を追加する方が経済的にも手間的にもお手軽です!

ちなみに、私個人的にカフェラテが好きなのですが、例えばスタバのラテ(ホット・トールサイズ)だとおおよそ250ml(=250g)くらい牛乳が入っているみたいです。牛乳100gあたりカルシウムは約100mgなので(正確には110mgですが、この方が覚えやすいので)、これだけで250mg摂取できちゃうんだ、となります。ラテすごいぜ。

 

f:id:wd19:20191028120707j:imageおしゃれカフェラテでカルシウム摂取。おやつでカロリーも摂取…

ビタミンD!(日光浴と魚)

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるとともに、骨を強くする作用があります。骨というのは日々破壊と創生(表現が壮大w)が繰り返されていて、常に新しい成分に入れ替わっています。このうち、ビタミンDは骨の「破壊」を抑える作用がある、というのが「骨を強くする」といわれる理由です。

なので、このビタミンDもしっかり摂っていきたいところです。ただこのビタミンD、日光に当たると皮膚で生成される、つまり自分で作れるのはご存じでしょうか。こちらによると「夏なら木陰で30分、冬なら手や顔に1時間程度」日に当たれば十分とされています。もし、骨折をしてあまり外に出られなくなってしまった、という場合は、意識して日光浴を行うのもいいかと思います。

食品から摂取するのであれば、魚です。イワシ、サンマ、サケ、ブリなどです(割と背中青い系ですね)。日本人の食事接摂取基準では、1日の目安量*4が5.5μgとされています。これらの魚なら、およそ一切れ(または1匹)食べるだけで目安量はカバーできます!

 

残り2つは摂りすぎ注意系です。

ナトリウム!(要するに塩分摂りすぎ注意)

食塩を摂取しすぎると、尿からのカルシウム排泄量が増えるようです。 こちらには、食塩の摂取が6g増えると、尿からの排泄が約24~40mg増えるとあります。ただ、日本人は1日で10g程度食塩を摂取していて、ここから大幅に減らすことは難しいと考えられます。尿からの排泄量もそれほど多いわけではないですし。

このため、意識する方向性としては、ラーメンのスープは飲み干さない、なんでもガバガバ醤油をかけない、程度でいいのかなと思います。

 

アルコール!(ガバガバ飲まんように)

好きな方は、毎日でも飲みたいアルコール。でも実は、アルコールの過剰摂取は骨粗しょう症のリスク因子としてもピックアップされています。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)*5によると、アルコールを多量に摂取すると、カルシウムの吸収を妨げる上に、尿からのカルシウム排泄量まで増やしてしまうと書かれています。

こちらのガイドラインで問題になっているのは、アルコール量に換算して1日あたり24~30g以上のお酒を摂取している場合。アルコール度数5%のお酒(ビール・チューハイなど)だと、600~750ml、つまり350ml缶2本程度に当たります。

このくらいの量なら日常的に飲んでいる方も多いかなと思います。(自分が全く飲まない人間なので程度がわからないですが…)毎日350ml缶2本を飲んで、どれだけカルシウムが無駄になるのか、定量的なことはわからないのですが、少なくとも、骨折しているときくらいはお酒を控えるのが得策かなぁと思います。

 

まとめ!

長くなったので今回の記事のまとめです。

  • 怪我で動けないときでも、たんぱく質は意識して多めに!
  • 骨折しているときは、カルシウムを十分摂取・ビタミンDは日に当たる・塩分とお酒は控えめに!

 

勢いで書いた記事なんですが…予想を超えて、文字数が3500字を超えてしまいましたw あと、落車報告が相次いだのはちょっと前だったから、この記事はもっと早く書いたら良かったな、という気がしてます。それでも、この記事が少しでもどなたかのお役に立てれば幸いです!

私にもこの記事が役に立つ日がくるのか…?いや、こないように日々気を引き締めて自転車に乗ろうと思います!

 

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*1:日本人の食事摂取基準(2015年版)概要 -- https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

*2:ほとんど(97~98%)の人が必要量を満たすと推定される1日あたりの摂取量。個人が摂取する栄養素の量はこの推奨量をもとに考える。

*3:https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou.pdf

*4:すでに記載の通り、ビタミンDは日光で生成することができるので、他の栄養素と違って「目安量」という緩いくくりで定められています。

*5:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版) -- http://www.josteo.com/ja/guideline/doc/15_1.pdf