【vol.3】たんぱく質・糖質・脂質のバランスを考える(主にたんぱく質)

ロードバイク的栄養学も3回目です。せっかく記事を書くなら、自分なりに調べて納得したことを書きたいなと思ったので、梅田の丸善ジュンク堂で新たに資料を入手してきました!スポーツ栄養は医学書と実用書で書棚が分かれているんですね~。

今回は医学書の書棚にあったこちらを買いました。専門書ですがイラスト多めで読みやすそうです。これから読んで勉強します!

スポーツ栄養学 (イラスト)

スポーツ栄養学 (イラスト)

  • 作者: 大嶋里美,田村明,徳野裕子,古川覚
  • 出版社/メーカー: 東京教学社
  • 発売日: 2019/04/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さて、スポーツ栄養に限らず、食事や栄養に関する話になると、よく「バランスのいい食事」「栄養バランスを考えて」という言葉を見聞きしませんか?この「バランス」という言葉。それっぽく聞こえるけど、その中身とは一体何のことやら。

前回のvol.2では自転車抜きで1日に必要なカロリーを計算しましたが、今回はそのカロリーの中身、どんな「バランス」でたんぱく質・糖質・脂質を取ればいいかを考えていきます。

wd19.hatenadiary.jp

 

タンパク質、糖質、脂質のエネルギー比率

前々回vol.1でエネルギー換算係数のお話をしました。1gあたりたんぱく質4kcal、糖質4kcal、脂質9kcalというやつです。今回これが活躍します。

vol.2で登場した、体重60kgの30代男性(身体活動レベルⅡ)の方を例にして考えてみます。(面倒なのでこの方をAさんと名付けます)Aさんの1日に必要なカロリーは約2340kcalでした。例えばこのカロリーを全部糖質で摂るなると、2340kcal÷4kcal/g=585gも食べるのか、と考えることができます。でも100%糖質なんてありえない話ですw

じゃあ、2340kcalのうち何%を糖質で摂ったらいいかな~、何%をたんぱく質と脂質で摂ったらいいかな~、の「何%」のところを「エネルギー比率」と呼びます。

 

ではどんなエネルギー比率がよいのか。vol.2にも出てきた「日本人の食事摂取基準」が今回も登場します。この資料で推奨されているエネルギー比率は以下の通りです。*1

たんぱく質:13~20%

脂質:20~30%

糖質*2:50~65%

このエネルギー比率から、実際に必要なグラム数に落としこんで、普段の食事で必要な栄養素の量を把握していきます。

例えば、Aさんがたんぱく質のエネルギー比率:20%で食事を摂るとします。2340kcalの20%は468kcalです。エネルギー換算係数でグラム数を計算すると、468kcal÷4kcal/g=117gのたんぱく質を摂ればいいんだなとわかります!同様の方法で、脂質25%、糖質55%とすると以下のように計算できます。

・Aさんの1日の必要カロリー:2340kcal

・エネルギー比率  たんぱく質:脂質:糖質=20%:25%:55%

 (たんぱく質+糖質+脂質の比率の合計は100%になるようにします)

たんぱく質  2340kcal×0.20×4kcal/g=117g

脂質  2340kcal×0.25×9kcal/g=65g

糖質  2340kcal×0.55×4kcal/g≒322g

 

グラム数がわかると、だいぶイメージが湧きやすくなってくるかなと思います。食品の裏側の栄養成分表示と見比べて、自分はどれだけ栄養素を摂っているんだってことを考えていくだけでも新鮮だと思いますよ!(菓子パンとか見たら脂質の多さにびっくりできますw)

 

自転車乗りのエネルギー比率は?<たんぱく質

前回vol.2で「日本人の食事摂取基準」がアスリート向けではないと一言書いたかと思います。なので、上で紹介したエネルギー比率も、自転車乗り的に適切なのか?少し考える必要があるのかもしれません。

私はそれほどスポーツ栄養に特化した勉強はしていないのですが、手元にある資料やwebを参考に調べてみました。主に参考にしたのはこちらの本になります。

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

スポーツ栄養学: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる

 

 

まず一番優先して考えていきたいのがたんぱく質です。ご存じの通り、たんぱく質は筋肉の原料となり、パフォーマンスに直結します。

上の本で紹介されているデータがあります。特に運動していない人と筋トレをしている人を呼んできて、普通(0.86g/体重kg/日*3)・多め(1.2g/体重kg/日)・めっちゃ多め(2.4g/体重kg/日)のたんぱく質を摂取してもらい、体内でたんぱく質が作られるスピードを調べたそうです。

そうすると、運動していない人ではたんぱく質の摂取量を増やしても何も変化はなかったのですが、筋トレ勢は普通→多め→めっちゃ多めの順に、体内でたんぱく質が作られるスピードが上がったということです。

つまり、普段から運動している人がたんぱく質を多めに摂ることは非常に意味がある、と考えられる結果です。(ただ、多ければ多いほどいいというわけではなく、めっちゃ多め(2.4g/体重kg/日)以上に摂取してもスピードは変わらなかったそうです。)

 

では具体的に、どのぐらいの量がいいのか。

色々調べると、上で紹介したエネルギー比率で何%という数字ではなく、体重1kgあたりに換算した数値(g/体重kg/日)で示されている資料が多いです。(ややこしくてすいません)持久系スポーツなら1.5、瞬発系なら2.0がいいよとか、1.2~2.0がいいよとか、1.2~1.7がいいよとか、バリエーションがありすぎて困りますw

個人的には、食べやすい範囲でたんぱく質を十分摂取するとなると、1.5~2.0g/体重kg/日ぐらいが適切なんじゃないかなぁと思います。

 

早速Aさんの例で考えます。

Aさんは普段から割とハードにトレーニングをしていて、筋力をつけて自転車のパフォーマンスアップを図りたいと考えたため、2.0g/体重kg/日でいこうと目標を立てました。Aさんの体重は60kgなので、2.0g/体重kg/日×60kg=120g/日摂ればいいことがわかりました!

 

ただ、1日120gのたんぱく質、実際の食事で摂ろうと思うと結構大変です。

この辺の具体的な話はもっと後にご紹介しようと思うのですが、ざっくり書くとごはんお茶碗多め200gでたんぱく質約5g、お肉1食分100gでたんぱく質約20gです。単純に3食食べても合計75gです。毎日120g摂るためには日々の献立の工夫と、やはりプロテインを取り入れる必要性が出てくるんじゃないかなと思います。

 

またまた長いお話になってしまいました。今回はたんぱく質・糖質・脂質のエネルギー比率と、自転車乗り目線ではたんぱく質をどれくらいの量摂取すればいいか、のお話でした。自転車乗り目線での脂質・糖質のお話は、尺の関係で次回に持ち越しです!

お読みいただいてありがとうございました!

*1:「日本人の食事摂取基準(2015年版)」概要 -- https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

*2:正確には糖質+食物繊維も含めた「炭水化物」という言葉で書かれています

*3:1日あたり体重1kgあたり0.86gの計算でたんぱく質を摂るという意味。体重60㎏なら0.86/体重kg/日×60㎏=51.6g/日となる